行動芸術展「家に帰る、カオスモーズ」

2018行動芸術展「家に帰る、カオスモーズ」

風の沢ミュージアム(宮城県栗原市)は2018年4月22日(日)から10月21日(日)まで、行動芸術展「家に帰る、カオスモーズ」を開催いたします。
風の沢「家ミュージアム」は、みなさま方のご支援により十四年に亘り、美術館としての活動を継続してまいりました。そうしたご指導を土台といたしまして、今期より、新しい展開を開始いたしたいと思います。
企画展、「家に帰る、カオスモーズ」は、家屋美術館ならではの、家の普遍性を思考し、家から発する芸術の誕生を意図いたしております。「行動芸術」と名付けられた共同制作は、ひとりひとりが、それぞれの家を持ち続けている現代の多様性を象徴いたしております。みなさんと共に、「家」=「居場所」を作り上げていけることを願っております。
「カオスモーズ」とは、カオス<混沌>、コスモス<世界>、オスモーズ<浸透>の合成語で、哲学者フェリックス・ガタリが提唱した概念です。多様な価値の中で、確かに、静かに息づいていくものへのまなざしの所在を、考えてみようとしました。

 顧問 森 繁哉

日時:2018年4月22日(日)から10月21日(日)まで
場所:風の沢ミュージアム(〒987-2302宮城県栗原市一迫片子沢外の沢11)
主催:風の沢ミュージアム
共催:NPO帰園田居創生機構
後援:栗原市、栗原市教育委員会, 河北新報社
総合監修:森 繁哉
空間表現:杉浦 節美
画:松村 知紗
調書:早川 知子

この企画展は行動芸術と称した共同制作による空間表現となります。
受付で最初に冊子「家に入るための敷居について」が手渡されます。
館長であり総合監修の森 繁哉がまとめた冊子は、早川 知子による民俗学的聞き書き調査の調書と共に構成され、読み進めることで家空間へといざなっていきます。
引き戸を開けるとそこには何もない板の間が待ち受けます。
何もないことでむしろ空間の闇を強く感じます。
そして囲炉裏にくべられた薪のにおいや煙が身体を刺激し、次第に目が慣れてくると、どこからともなく音が聞こえてきます。
耳を澄ますと、それらは生活の中の様々な音であったり、会話であったり。
家の歴史の中で営まれた人々の息づかいを想起させます。
そして囲炉裏に視線を移すと、淡い映像が浮かんでは消えを繰り返しています。
家に住んできた人々の記憶が走馬灯のように映し出されているかのようです。
この映像のオリジナル画は松村 知紗によって描かれ、カフェに展示してあります。

次に座敷に入ると、そこには色とりどりの布が垂れ下がり、空間がハレを連想されるようです。
また座敷空間にはサラシ布が浮遊しているかのように舞い、縁の綱をモチーフとして生と死の循環を感じさせます。
砂に埋もれた数々の生活の品は日常・ケとしてとらえられ、ハレとケが分離されず互いに補うような一体性を表現しています。これらはこの家のオーナーである杉浦 節美によって構成され、家の歴史の一部として今回参加となりました。

この「家巡礼」の詳細については、冊子「家に入るための敷居について」に解説されています。
なお、会期後も一部500円で販売しております。