2014「土思考 泉田之也展」

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土思考:泉田之也展
通常、芸術作品には名前があり、ひとつのオブジェクトに対して一つの名前が付けられています。この展覧会の作品 にも名前が付けられていますが、『土思考:泉田之也展』はそれ自体がひとつの大きな試みであり、一つ一つ区別され た名前をつけることが難しい作品群です。この展覧会全体を泉田之也という土を通して思考する陶芸家の作品として捉 えた時、そこから陶芸家と土の関わりや、土が持つ情報をいかに私たちが見落としているのかに気付かされます。 泉田之也は、幼少の頃から様々な種類の土が時間とともに折り重なった地層や、生活の中で打ち固められた土間など、 土の持つ質感に惹かれてきました。会社勤めを経た後に陶芸家となった泉田は、幼少の頃のおぼろげな手がかりを確信 に変え、作陶しています。泉田の作る作品には器や彫塑など、その種類にかかわらず一貫した質感と量感への抗いにこ だわりが見えます。
砂と土の間、土と岩の間、土が時間を超えようとする時に持つあわいの質感。その質感へのこだわりが、土という概 念を視覚へ変換することを可能にしています。また、土を重力から開放するような形態の作品を数多く作ってるのも泉 田の特徴です。『折』シリーズや、『丘』シリーズは土とは思えない薄さで、なおかつ平面との接点の非常に少ない、少 なく見える作品群です。土の持つ強度を引き出し、重力から開放する独特な技法は、だからこそ本来もっているはずの 重力に気づかせられ、土は地にあるものという当たり前に問いを投げかけます。