2011「華思行 松田隆作展」

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華思考 松田隆作展 展示風景2011 風の沢ミュージアム展示風景

2011年4月23日(土) – 2011年10月30日(日) 「思考」シリーズ、今回は「思行」を試みます。

現代いけばな作家である松田隆作の作品を、里山と古い民家をミュージアムとしている空間に入れ込んだ現代美術展です。
氏の作品は植物を人為的に解体し、枝葉や棘などの部材を再構築するもので、主にコンテンポラリーアートとして紹介されることが多いのですが、日本の花文化の中で育ち、フラワーデザイン、フローリスト、伝統的いけばなを通して、自己の感性、技術を習得してきたことにより、氏自身は自分の立つ位置は日本の花文化、言わば「いけはな」の延長線上にあると思っています。

日本の伝統的いけばなは、自由ではなく窮屈なものだと思っていた30代初めに「現代いけばな」と出合い、現代いけばなの自由さと面白さを知り自分のすべきこと、進む道が決まったと言います。
植物に接し、植物の肌感覚や、匂い、音を聞きながら、植物を素材として制作する作品のコンセプトは「時の経過」です。性質上、植物を素材とした場合、作品は年月を経るにしたがい、大きく変化していきます。人により汚く見えるとか、ダメージが先行すると言いますが、氏は土に還るまでの自然消滅していく様はどの瞬間も美しいと考えています。
そのコンセプトでもって制作される作品は、竹を切り、ノミで削り、改めて接着し拡大・縮小したものや、バラの花びらを乾燥させ、微粉末状にしたものを布に刷り込んで彩色したり、どれだけの数か把握できないほどの多くの棘を集め素材にしたりと、細かい作業を延々と続け、制作時間が一年を超えるものもあります。しかし自身は植物と関わっている時間が長いほど幸せに思えてくるのです。
そうして制作された作品たちも、時間とともに鮮やかな色彩は退色し、張りのあった枝は張力を失い徐々にしぼんでくるでしょう。こういった変化の過程こそ、氏は最も大切にしています。その姿勢には、自身の人生観、死生観が大きく影響しているとも言えます。「日本人は、植物をデコレートする、アレンジするという言葉より、植物をいけるという言葉を大切にします。いけるはダイレクトな英語が見つかりませんが、要は植物の生命を預かり、その本質を見極め、かつ自己の思いを表現することと言えるのではないでしょうか(実際はもっと複雑なのですが)。ですから『アートとして創る』と『いけばなとしていける』は私にとって同義語です」 と氏は言います。
今回の風の沢ミュージアムでの松田隆作展は6カ月に渡るロングランの美術展です。氏は、過去最長で3カ月の展示を海外で行いました。今回はじめて6カ月という展示を行うにあたり、氏自身が作品がどのように変貌していくかを非常に楽しみにしています。
また、都会の刺激を受け都会で制作する氏の作品を、緑溢れる里山の空間に入れこんだ場合、どのような変化が生まれるのか、そして朽ちていく生命(可死性)と、ゆるぎない土地(不死性)の上に繋がれてきた多くの生命の交差を感じ、生命の関係、生きていくこととは、死んでいくこととは何だろうと考えるきっかけになれればと思っております。

(『contemporary floral art 松田隆作』より)