木村 泰平 個展 「長い話」

 風の沢ミュージアムは、2017年4月23日(日)から2017年10月22日(日)まで、日本国内においては初となる、木村泰平による個展「長い話」を開催いたします。

 木村泰平は、1986年生まれのこれからが期待される若手の現代アーティストのひとりです。埼玉県に生まれ、東京藝術大学大学院美術研究科の先端芸術表現専攻を2012年に修了。その年に発表した自動車とドラム缶が衝突するパフォーマンスは、過激な映像として人々の目に焼き付きました。その後に続く住宅の床材を破壊的に壁に集約させるなどの作品も、暴力的な動きをしながらもその制作過程は、アーカスプロジェクト同様、綿密に計算された繊細なものです。

 木村の活動は、解体される建築物や、爆発する瞬間を樹脂に閉じ込めたものなど、スケールは違えど強く視覚に訴えてくるものばかりです。しかし彼の制作を貫くテーマが刺激や暴力性かといえば、そうではありません。木村の作品には、ものごとの時間の経過が閉じ込められています。モーターによりテンションがいっぱいになるまで巻かれたチェーンが、その反動の力をもって衝突するまでの力。

 まるで長い映像を一度に体験するような時間の圧縮です。そこには何か物語りが込められていそうですが、その意味ではなく、形態を洗練させていく手法を木村はとっています。彼は形で実直に力強く私たちに語りかけます。しかしその言葉は、意味の向こう側にあります。

 木村は本展覧会のリサーチのために何度も栗原市を訪れています。作品を構想する上で、この地方の置かれている状況、環境を読み解こうとしています。それは作品に反映されるものではありません。なぜなら作品とは何かを説明するための装置ではないのです。人は、モノを見るときにそのモノの意味を読み解こうとしがちです。自分が理解できるモノに安心し、理解できないものには興味を失います。

 現代美術が「自分には関係がない」「難解でわからない」と敬遠しがちな理由の一つはこの、「意味が、形から理解できない」ということも要因の一つかもしれません。しかし世界には、形や状況から容易に理解できることは、実は少ないのです。人は理解できるものばかりが目に入り、それが世界だと思ってしまいます。

 木村泰平の作る作品を通して、「理解できない・見えない」世界を体験してみてください。自分の目や頭や身体を、今までとは違ったやり方で動かし、違った目で、違った頭でみてください。会期中は、ワークショップやレクチャーなどのイベントもあります。詳細は、ウェブサイトに随時掲載していきます。

 これからの活躍がもっとも期待されるアーティストの木村泰平の日本初の個展を是非ご高覧賜ますようお願申し上げます。

風の沢ミュージアム ディレクター ユミソン

 

  木村泰平

1986  埼玉県生まれ
2012  東京藝術大学大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻 修了
2010  東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科 卒業
個展:
2015 「Trace the mountain」/ Nha San Collective/ ハノイ
主なグループ展:
2014 「富士の山ビエンナーレ」/ 富士本町エリア/ 静岡
    「ゼロダテ2014」/ 旧森林組合社宅/ 秋田
2013 「AT ART UWAJIMA 2013」/ SITUATIONALLY/ 愛媛
    「TRANS ARTS TOKYO 2013」/ 神田錦町共同ビル/ 東京
2012 「ARCUS Project 2012」/ ARCUS Studio/ 茨城
    「どこにいるかわからない展」/ Source Factory/ 東京
    「10年代の終戦」/ eitoeiko/ 東京
    「アートアワードトーキョー丸の内 2012」/ 行幸地下ギャラリー/ 東京
2011 「νROMANCER」 / islandMEDIUM / 東京

 

会期中の展覧会関連企画
4月後半 アーティストトーク「記号や場所を手繰りよせて、長い話の断片をみる」話し手:木村泰平 聞き手:ユミソン(風の沢ミュージアム ディレクター)
8月後半 ワークショップ「みる?つくる?あそぶ!「土と火の祭り」事前ワークショップ」
9月予定 劇団三ヶ年計画との協働演劇の上映会